最後の授業

最後の授業 DVD付き版 ぼくの命があるうちに

最後の授業 DVD付き版 ぼくの命があるうちに

自分の余命が幾ばくもない時に、自分ならどうするかという事を、この本を読みながら考えていました。
この本の著者とは違って、僕には(両親は健在だけど)家族も子供もいないし、何かを残したいという特別な願望も無い。どこにでもいる替わりの効くサラリーマンだけど、別にその立場に悲観しているわけでもない。
そう考えると、僕は何をしているんだろうとふと思いました。深く言えば生きているのか死んでいるのか分からない、という感じなんだけど、そんなに深刻に考えているわけではなく、単に生きていることを実感していないだけなんだろうと思う。


言うまでもなく人は必ず死ぬわけで、惜しまれつつ天寿を全うする人もいれば、ある日突然交通事故にあって死ぬ事もある。そして著者のランディ・パウシュのように、余命半年と宣告されることもある。そんな彼が家族の反対を押し切ってまで何をしたのか。何を残したかったのか。
ありきたりな表現だと思いますけど、死ぬ事が見えたから、死ぬ覚悟ができた(或いは否応なく覚悟せざるを得なくなった)から出来る事もあるんでしょうね。そんなことを考えているなら、生きている今のうちにしておけよ、っていうツッコミがありそうな気がしますけど、普通にそれなりに健康に生活している間にその考えに至ることは、とても難しい事だと思います。だって、当たり前の考え(健康に生活しているという現状)から、一歩外れて考えないといけないわけですから。『言うは易く行うは難し』だと思いますよ。


この本を読んでいる間、そんなある意味で「臨死体験」とも言えるような事を考えていました。
肝心の本の内容ですが、内容そのものはありきたりかもしれませんが、余命半年の人が遺した言葉であることを考えると、他の啓蒙書の類とは一線を画していると思います。その意味では一読の価値はあると思います。